コーヒー豆のパッケージに書かれた「エチオピア」「コロンビア」「ケニア」「グアテマラ」。
産地の名前は目に入るけれど、正直なところ「で、どう違うの?」と思ったことはありませんか。
お店でも「産地で味って変わるんですか?」というご質問をよくいただきます。変わります。けっこう、変わるんです。
ただ、ここで大事なことをひとつ先にお伝えしておきたくて。産地の傾向はあくまで「ざっくりした目安」にすぎません。同じエチオピアでも、品種や精製方法、焙煎の仕方で味はまったく違うものになります。
それでも、大陸ごとの傾向を知っておくと、自分の好みを探すときの手がかりになってくれる。今日はそんなお話をしてみたいと思います。
アフリカのコーヒー、ひと口目の印象

コーヒーの発祥地であるエチオピアを含むアフリカ大陸。とりわけ東アフリカのエチオピア、ケニア、タンザニア、ルワンダといった国々が、スペシャルティコーヒーの世界ではよく知られています。
アフリカのコーヒーをひと口飲んだときの印象を言葉にするなら、「華やか」がいちばんしっくりくるかもしれません。
ベリーやシトラス、ジャスミンのような花の香り。口に含むと、果実を思わせるジューシーな酸味がぱっと広がって、鮮やかな余韻が続く。初めてアフリカ産のコーヒーを飲んだお客様が「これ、本当にコーヒーですか?」と驚かれることも珍しくありません。
こうした個性が生まれる背景には、標高1,200m〜2,200mという高い栽培地の環境があります。昼夜の寒暖差が大きく、コーヒーチェリーがゆっくり時間をかけて熟していく。その過程で糖分や有機酸が豊かに蓄えられるため、複雑で表情豊かな風味につながるといわれています。
そしてもうひとつ見逃せないのが、品種の多様性。コーヒー発祥の地であるエチオピアには、まだ名前すらついていない野生の品種が数えきれないほどあります。この遺伝的な多様さが、他の産地にはない独特の風味をもたらしているんです。
中南米のコーヒー、安心できるおいしさ

一方、世界のコーヒー生産量のおよそ半分以上を担っている中南米。ブラジル、コロンビア、グアテマラ、コスタリカ、ホンジュラス、そしてゲイシャ種で世界を驚かせたパナマ。
中南米のコーヒーを飲んだときに感じるのは、「バランスのよさ」ではないでしょうか。
ナッツやチョコレート、キャラメルを思わせるやさしい甘み。酸味もあるけれど穏やかで、苦味との調和がとれていて、飲み心地がとにかくスムーズ。「コーヒーらしいコーヒー」という表現がぴったりくる味わいです。
実は、日本で長く親しまれてきたコーヒーの多くはブラジルやコロンビア産。つまり、私たちが「コーヒーってこういう味だよね」と思っている基準そのものが、中南米の味わいに近いということでもあります。だからこそ、初めてスペシャルティコーヒーに触れる方にも受け入れやすい。
中南米のコーヒーがこうしたバランス型になりやすい理由のひとつは、ウォッシュド(水洗式)と呼ばれる精製方法が主流であること。果肉をきれいに取り除いてから乾燥させるこの方法は、クリーンで雑味の少ない仕上がりを生みやすいんです。
アンデス山脈の火山性土壌、整った気候条件、そして大規模な栽培の歴史が築いてきた品質管理の技術。そうした要素が重なって、安定したおいしさを届けてくれています。
ざっくり並べてみると
ここまでの話を、ほんとうにざっくり並べてみます。
アフリカ(とくに東アフリカ)は、華やかな香り、果実味のある酸味、フローラルやベリー系の風味が印象的なコーヒーが多い傾向。
中南米は、バランスのとれた味わい、ナッツやチョコレート系の甘み、クリーンな後味が特徴的なコーヒーが多い傾向。
こう並べると「じゃあ、自分はどっちが好きだろう」と想像がふくらみませんか。
果実のような華やかさにときめくタイプなら、まずアフリカ産を。落ち着いた甘みとバランスに安心感を覚えるなら、中南米産を。そんなふうに、最初のひと袋を選ぶときのヒントにしていただけたらうれしいです。
でも、大陸だけでは語りきれない

ここまで「傾向」としてお話ししてきましたが、正直にお伝えしたいこともあります。
同じアフリカでも、エチオピアのイルガチェフェとケニアのニエリでは、風味の方向性がかなり違います。エチオピアが紅茶やジャスミンのような繊細さを持つのに対して、ケニアにはカシスやトマトを思わせる力強い酸味がある。同じ大陸でも「別の世界」と言いたくなるほどです。
中南米だって同じ。ブラジルのナッツ感たっぷりの味わいと、コロンビアのフルーティな甘さ、パナマ・ゲイシャの繊細な花の香り。ひとくくりにはできません。
そして何より、品種と精製方法と焙煎度の影響がとても大きい。
たとえばエチオピアでも、ウォッシュド製法ならすっきりとした柑橘系の印象になりますし、ナチュラル製法ならいちごやブルーベリーのような濃厚な果実味が前面に出てきます。同じ豆でも製法ひとつで、別のコーヒーのように変わるんです。
焙煎度も同様で、浅煎りなら産地の個性がくっきり出ますし、深煎りにするとどの産地でもチョコレートやカラメルの方向に近づいていきます。
だから「アフリカだから華やか」「中南米だからバランス型」と決めつけてしまうのは、ちょっともったいない。傾向は知っておきつつ、そこからはみ出す驚きも楽しんでほしいなと思っています。
飲み比べてみると、もっとわかる

味わいの違いをいちばん実感できるのは、やっぱり飲み比べです。
たとえばエチオピアとコロンビアを同じ焙煎度で並べて飲んでみる。カップから立ちのぼる香りの違い、口に含んだときの酸味の質感、飲み込んだあとの余韻の長さ。ひとつひとつが違うことに気づくと、「コーヒーってこんなに幅があるんだ」と世界がぐっと広がります。
FUKUSUKE COFFEEでは、エチオピアやケニアといったアフリカ産、コロンビアやグアテマラといった中南米産、どちらもラインナップに並ぶことが多いので、気になったときはぜひ声をかけてくださいね。
「自分はこっちの方が好きかも」。その小さな発見が、コーヒーをもっと楽しくしてくれるはずです。
あなたの「好き」を探す出発点に

大陸ごとの味わいの傾向は、あくまで最初の手がかり。
でも、それがあるだけで、何百種類もあるコーヒー豆のなかから「まずこれを試してみよう」と一歩を踏み出しやすくなります。
華やかな果実味のアフリカか、穏やかなバランスの中南米か。
どちらが正解ということはなくて、どちらにもそれぞれの魅力がある。そしてその先には、国ごと、農園ごと、品種ごとの、もっと細かな個性が待っています。
コーヒーの世界は広いけれど、急ぐ必要はありません。一杯ずつ、ゆっくり味わいながら、自分だけの「好き」を見つけていってください。
迷ったときは、いつでもご相談くださいね。
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FUKUSUKE COFFEE ROASTERY 愛知県安城市から”福を届ける”コーヒーロースタリー

