「FUKUSUKEって、どういう意味なんですか?」
店頭でコーヒーを選んでくださっているお客様から、ときどきそんなふうに尋ねられることがあります。
アルファベットで並んだ名前だけを見ると、ちょっと不思議に映るかもしれません。
でも、この名前には、私たちのお店があるまちで300年以上受け継がれてきた小さな物語と、コーヒーで「福」を届けたいというささやかな願いが、そっと込められているんです。
今日は、その由来についてお話しさせてください。
「福助」は、江戸時代から続く縁起物
「福助(ふくすけ)」は、江戸時代から日本で親しまれてきた縁起人形のひとつです。

ふくよかな頭に、ちょこんと正座した姿。やわらかい笑顔と、大きな福耳。そのたたずまいから、家や商いに「福」を呼び込んでくれる存在として、長く愛されてきました。
商家の店先や、料亭の入り口に、ちんまりと座っている福助さんを今でも見かけることがありますよね。「福を招く」「縁起がいい」。そんなあたたかい意味合いを、ずっとまとってきた存在なんです。
ですから、福助の名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。けれど、私たちが「FUKUSUKE」という名前を選んだ理由は、実はもう少し、この土地にぐっと近いところにあります。
桜井のまちでは、福助は「凧」になった
FUKUSUKE COFFEEがある愛知県安城市の桜井地区には、〈桜井凧(さくらいだこ)〉と呼ばれる伝統工芸が伝わっています。

その始まりは、なんと江戸時代の元禄年間(1688〜1703年)。300年以上前から、農家の方々が農閑期に手づくりしてきたといわれています。
凧のデザインは天神、アブ、チョウ、ハチなどさまざま。その中でも、地域でいちばん親しまれてきたのが「福助」の凧でした。
桜井駅前のモニュメントになっていたり、地元の和菓子のデザインに使われていたり。駅や小学校にも、福助凧の実物が今も飾られているんですよ。

桜井で生まれ育った子どもたちにとって、福助凧は「いつもそこにあったもの」。空を見上げたとき、ふっと記憶に浮かんでくる風景のひとつなんです。
最後の凧職人と、わたしたちの小さなご縁

実は、代表・三浦の妻のおじいさまが、桜井凧をつくる最後の職人さんのひとりでした。
安城市歴史博物館に残されている桜井凧の家系図にも、そのお名前が刻まれています。時代の流れの中で、凧づくりの担い手はずいぶん少なくなってしまったのが今の現実です。
それでも福助凧は、駅に、学校に、町のあちこちに今も飾られていて、地域の方々に静かに親しまれているんです。
妻のおじいさまが守ってきた伝統と、同じ名前を冠する。それは、ただ縁起のいい言葉をお借りする、というよりも、もう少し重みのある選択でした。
「この土地で生まれたものに敬意を持ちながら、新しい一杯を届けていく」。私たちにとって、お店の名前を決めるということは、そういう覚悟を持つことでもあったんです。
凧は空に福を運び、コーヒーは日常に福を届ける

桜井凧は、空に向かって舞い上がり、福を運んでくれる存在だといわれてきました。
私たちが扱っているのは、コーヒーという、ささやかな飲みものです。
凧のように高く空を舞うことはできません。けれど、毎朝のテーブルや、ふと一息つきたい午後のキッチンで、誰かの暮らしのすぐそばに居ることはできます。
凧が空に福を運ぶように、一杯のコーヒーに福を込めて届けたい。
形はまったく違っても、込めている想いは、きっと同じなんです。
そして桜井凧が長くこのまちで愛されてきたように、FUKUSUKE COFFEEも、地域に静かに根を張っていけるお店でありたい。そんな願いを、この4文字に託しました。
一杯のコーヒーに、福を込めて

FUKUSUKEという名前は、ただの音の響きではないんです。
300年以上続いてきた地元の文化と、それを守ってこられた職人さんへの感謝と、コーヒーで福を届けたいというささやかな願い。そのすべてを、たった4文字の中に包んでいます。
もしお店に立ち寄っていただく機会がありましたら、店内に飾られている福助凧の実物を、そっと探してみてくださいね。
そして一杯のコーヒーを、ゆっくり味わっていただけたら嬉しいです。
その時間が、あなたの日常に、ほんの少しの「福」を運べますように。
あなたのことも、教えてください
FUKUSUKE COFFEEの読み物は、私たちが一方的に「伝える」ためのものではなく、みなさんと一緒につくっていきたいと考えています。
・このコーヒー、どう選べばいい?
・プレゼントで失敗しないコツを知りたい
・浅煎りって、正直よくわからない
・こんな話、読んでみたい
・最近こんなことで悩んでいます
などなど、どんな小さなことでも大丈夫です。
ふと感じた疑問や、知りたいこと、悩んでいることを、そっと教えてください。
いただいたお声は、次の読みものや商品づくりのヒントとして、ひとつひとつ、大切に活かしていきます。

FUKUSUKE COFFEE ROASTERY 愛知県安城市から”福を届ける”コーヒーロースタリー

