「ハンドドリップでコーヒーを淹れてみたい」
そう思ったものの、 なんだか難しそうで、なかなか踏み出せない。
そんな経験はありませんか?
お店でも、こんなお声をいただくことがあります。
「道具を揃えたのに、まだ一度も使えてなくて…」
「失敗したらもったいないから、つい躊躇してしまう」
「そもそも、何からはじめればいいかわからない」
そのお気持ち、よくわかります。
でも、安心してくださいね。
はじめての一杯は、 完璧じゃなくていいんです。
この記事では、 コーヒーをはじめて淹れる方に向けて、 最初の一杯を淹れるまでの全手順を、 できるだけやさしくお伝えしていきます。
難しいことは抜きにして、 まずは「自分で淹れられた」という体験を、 一緒に味わってみましょう。
まず揃えたい道具
ハンドドリップをはじめるにあたって、 最低限あるといいものをご紹介します。
とはいえ、 すべてを一度に揃える必要はありません。
まずは手元にあるもので試してみて、 少しずつ買い足していくのもいい方法ですよ。
■これがあれば淹れられます
- ドリッパー
- ペーパーフィルター(ドリッパーに合うサイズ)
- コーヒーの粉(中挽き)
- お湯を注ぐもの(ケトルややかん)
- コーヒーを受けるもの(サーバーやマグカップ)
■あると便利なもの
- スケール(はかり)
- タイマー(スマートフォンでも可)
- 温度計
「スケールやタイマーがないと淹れられない?」 と思う方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、あったほうが安定した味になりやすいのは事実です。
ただ、はじめての一杯であれば、 目分量でも大丈夫。
まずは「やってみる」ことを優先してみてください。
慣れてきたら、スケールを使って、 同じ味を再現できるようになっていけばいいんです。
■ドリッパーの形について
お店でよく聞かれるのが、 「どんなドリッパーを選べばいい?」というご質問です。
ドリッパーには、おおまかに円錐形(逆さにした円錐のような形)と、 台形(底が平らな形)があります。
はじめてであれば、どちらでも大丈夫。
100円ショップで手に入るものでも、 十分においしいコーヒーが淹れられます。
迷ったら、まず手に入りやすいもので試してみて、 慣れてきたら好みのものを探してみてくださいね。
■専用の道具がないときは
お湯を注ぐケトルは、 注ぎ口の細いものがあると便利ですが、 やかんから直接でも、ゆっくり注げば問題ありません。
計量スプーンがなければ、 大さじで代用することもできます。
大切なのは、 「道具がないから淹れられない」と諦めないこと。
今あるもので、まずは一歩踏み出してみてくださいね。
コーヒー豆の選び方と量の目安
■豆の状態について
コーヒーは、 豆のまま買うか、粉で買うか、迷うところですよね。
はじめてであれば、 お店で「中挽き」に挽いてもらった粉がおすすめです。
「中挽き」とは、 ざらめ糖くらいの細かさ。
ハンドドリップにちょうどいい粗さです。
挽きたての香りは格別ですが、 ミルがない場合は無理に揃えなくても大丈夫。
まずは粉の状態で試してみて、 「もっと香りを楽しみたい」と思ったら、 ミルの購入を検討してみてください。
■焙煎度の選び方
はじめての方には、 中煎り(Medium)から中深煎り(Medium Dark)あたりがおすすめです。
苦すぎず、酸っぱすぎず、 バランスのとれた味わいが楽しめます。
ブレンドコーヒーも、 いろんな豆の個性が調和していて飲みやすいですよ。
迷ったときは、 お店のスタッフに「はじめてなんです」と 伝えていただければ、お好みに合わせてご案内いただけると思うので、勇気を出して聞いてみましょう。
■一杯分の量
今回ご紹介するレシピでは、 コーヒーの粉10gに対して、お湯150gを使います。
コーヒーの量に対して15倍のお湯、 これが基本の比率です。
「10gってどのくらい?」と思ったら、 大さじで軽く山盛り2杯くらいが目安です。
スケールがあれば正確に量れますが、 なくても最初は感覚で試してみて大丈夫ですよ。
お湯の準備
ハンドドリップでは、 お湯の温度がコーヒーの味わいに影響します。
私たちがお店でおすすめしているのは、 85℃くらいのお湯です。
この温度だと、 苦みや渋みが出にくく、 やさしい味わいに仕上がりやすいんです。
「85℃ってどうやって測るの?」
温度計がない場合は、 沸騰したお湯をケトルに移し替えて、 1〜2分ほど待つと、だいたい85〜90℃くらいになります。
もうひとつの目安として、 やかんから湯気がゆらゆらと静かに立ち上るくらい、 と覚えておくのもいいですね。
厳密に測らなくても、 「沸騰直後は使わない」と意識しておけば大丈夫。
沸騰したてのお湯で淹れると、 苦みや渋みが出やすくなってしまうんです。
はじめてのハンドドリップ|基本の手順
それでは、実際に淹れてみましょう。
私たちがお店でお伝えしている、 シンプルで再現しやすいレシピをご紹介します。
用意するもの(1杯分)
- コーヒーの粉:10g(中挽き)
- お湯:150g(85℃くらい)
■淹れる前の準備
まず、ペーパーフィルターをドリッパーにセットします。
ペーパーフィルターには折り目がついているものがあります。 底と側面の折り目を、それぞれ反対方向に折っておくと、 ドリッパーにぴったりフィットしますよ。
もし余裕があれば、お湯でサーバーやカップを温めておくと、より温かい状態でコーヒーを飲み始めることができます。
ただ、はじめのうちは省略しても大丈夫です。 まずはシンプルにやってみましょう。
■ハンドドリップの手順
1. コーヒーの粉をセットする

ドリッパーにコーヒーの粉を入れます。
入れたら、ドリッパーを軽く左右にゆすって、 粉の表面を平らにしておきましょう。
表面に山や谷があると、 お湯が均等に行き渡りにくくなります。
「カサカサ、トントン」と軽くならして、 平らになればOKです。
2. 蒸らし(0:00〜0:20)
まず、粉全体にお湯を20gほどかけます。 粉の量の2倍くらいが目安です。

スケールがなければ、 「粉全体がしっとり湿るくらい」を目安にしてみてください。
注ぐときは、粉全体にまんべんなくお湯がかかるように、 中心から外側へ、くるくると小さな円を描くようにしてみてください。
このとき、粉がふわっと膨らむことがあります。
これは「ブルーム」とも呼ばれる現象で、 豆の中に閉じ込められていたガスが お湯に触れて外に出てくる証拠。
この「ガス抜き」をすることで、 お湯が粉にしっかり行き渡りやすくなるんです。
新鮮な豆ほどよく膨らみますが、 膨らまなくても心配しないでくださいね。
粉の状態で買った場合や、 焙煎から時間が経った豆、浅煎りの豆などは、膨らみにくいこともあります。
それでも、蒸らしの工程は大切なので、 20秒ほどそのまま待ちましょう。
3. お湯を注ぐ(0:20〜)
20秒経ったら、 ゆっくりとお湯を注いでいきます。
注ぎ方のコツは、 中心から「の」の字を描くように、 小さな円を描きながら注ぐこと。

フィルターの端(ペーパー部分)には 直接お湯をかけないようにしてください。
お湯がコーヒーを通らずに落ちてしまい、 薄い味わいになってしまいます。
ケトルをあまり高く持ち上げず、 粉から10cmくらいの高さから注ぐと、 お湯が暴れずに落ち着いて粉に浸透していきます。
合計で150gになるまで、 何回かに分けて注いでも、一度に注いでも、 どちらでも構いません。
はじめのうちは、 「ゆっくり、やさしく」を意識してみてください。
4. 抽出を待つ
お湯を注ぎ終えたら、 コーヒーがサーバーやカップに落ちるのを待ちます。

全体で2分以内くらいで落ちきるのが目安です。
落ちている間、粉の表面を見てみてください。
細かい泡がぷくぷくと出ていたら、 うまく抽出できているサイン。
もし3分を超えても落ちきらない場合は、ドリッパー内にお湯が残っていても、ドリッパーを取り外してください。
5. 仕上げに混ぜる

落ちきったコーヒーを見ると、 実は上と下で濃さが違っています。
最初に落ちた部分は濃く、 あとから落ちた部分は薄くなっているんです。
なので、最後にスプーンでくるりと混ぜてから、 カップに注いでみてください。
味わいが均一になって、 よりおいしく感じられると思いますよ。
手順のおさらい
ここまでの流れを、もう一度まとめておきますね。
- ドリッパーにフィルターと粉(10g)をセット
- 粉を平らにならす
- お湯20gを全体にかけて、20秒待つ(蒸らし)
- ゆっくりお湯を注いで、合計150gにする
- 2分以内を目安に、落ちきったら完成
- スプーンで混ぜてからカップへ
シンプルですよね。
最初は時間を測らなくても、 「少しお湯をかけて待つ」「ゆっくり注ぐ」だけ意識すれば、 十分おいしい一杯ができあがります。
うまくいかなかったときは
はじめてのハンドドリップで、 思い通りの味にならないこともあると思います。
でも、それは失敗ではありません。
「次はこうしてみよう」という発見があれば、 それはもう、大きな一歩なんです。
よくある「困った」と、その対処法をいくつかご紹介しますね。
■コーヒーが薄く感じる
いくつかの原因が考えられます。
- 粉の量が少なかったかもしれません。次回は少し増やしてみてください
- お湯を注ぐスピードが速すぎたかもしれません。もう少しゆっくり注いでみましょう
- 粉が粗すぎる可能性もあります。お店で「中挽き」と伝えて挽いてもらってくださいね
- 浅煎りや中煎りのコーヒーは軽い口当たりとなるので、よりコクがあるコーヒーが好みの方は深煎りもおすすめです。
■コーヒーが苦すぎる
こちらもいくつかの原因があります。
- お湯の温度が高すぎたかもしれません。沸騰後、少し冷ましてから使ってみてください
- 抽出時間が長すぎた可能性があります。粉を少し粗めにすると、落ちるスピードが上がります
- 深煎りの豆を使っていると、苦みが強く感じられることも。中煎りの豆を試してみてください
■コーヒーが酸っぱく感じる
酸味が気になるときは、こんな原因が考えられます。
- お湯の温度が低すぎたかもしれません。もう少し熱いお湯で試してみてください
- 蒸らしや抽出の時間が短かった可能性もあります。少しゆっくり淹れてみましょう
- 浅煎りの豆は酸味が特徴的です。中煎りや中深煎りの豆を選んでみてもいいかもしれません
■味がバラバラで安定しない
毎回違う味になってしまうときは、 スケールとタイマーを使ってみることをおすすめします。
粉の量、お湯の量、時間を記録しておくと、 「この前おいしかったときのレシピ」を再現しやすくなりますよ。
手帳やスマートフォンのメモに、 簡単に書き留めておくのもいい方法です。
■それでもうまくいかないときは
いろいろ試してみても思い通りにならないこと、 ありますよね。
そんなときは、 お気軽にお店にご相談ください。
「こんなふうに淹れたら、こんな味になった」と 教えていただければ、一緒に原因を考えることができます。
雑味を減らしたいときのひと工夫
お店でお伝えしているコツをひとつ、ご紹介しますね。
コーヒーの抽出が進むにつれて、 後半になるほど雑味が出やすくなります。
もし「すっきりした味わいにしたい」と感じたら、 お湯が全部落ちきる前に、ドリッパーを外してみてください。
全体で2分以内に抽出を終えると、 クリアな味わいになりやすいですよ。
最初は落ちきるまで待ってみて、 慣れてきたら試してみてくださいね。
豆の保存について

せっかく買ったコーヒー豆、 できるだけおいしい状態で楽しみたいですよね。
保存のポイントをお伝えしておきます。
■基本の保存方法
- 直射日光を避け、涼しい場所で保管
- 開封後は密閉容器や袋の口をしっかり閉じて
- 3ヶ月以内くらいを目安に飲みきるのがおすすめ
コーヒーは、焙煎から時間が経つにつれて、 少しずつ香りや風味が変化するんです。
豆の種類にもよりますが、焙煎日から2週間〜2ヶ月前後に味や香りが最も開くことが多いので、焦らず日々の変化もお楽しみください。
■長く保存したいときは
2週間以上かかりそうなときは、 冷凍保存も一つの方法です。
1回分ずつ小分けにしてラップで包み、 フリーザーバッグに入れて冷凍庫へ。
使うときは、使う分だけ取り出して、 解凍せずにそのまま挽いて大丈夫です。
冷凍庫から出し入れを繰り返すと、 結露で湿気を吸ってしまうので、 小分けにしておくのがポイントですね。
もう一歩先へ進みたくなったら
一杯淹れてみて、 「もっとおいしく淹れたい」と思ったら、 それはとても素敵なことです。
次のステップとして、 こんなことを試してみてはいかがでしょうか。
■豆を変えてみる
同じ淹れ方でも、 豆が変われば味わいはがらりと変わります。
産地や焙煎度の違う豆を試してみると、 自分の好みが少しずつ見えてきますよ。
エチオピアのフルーティーな香り、 ブラジルのナッツのようなコク、 ケニアの華やかな酸味。
いろんな豆との出会いを、ぜひ楽しんでみてください。
■お湯の温度を変えてみる
今回は85℃をおすすめしましたが、 温度を上げると風味がより際立ち、 下げるとまろやかになる傾向があります。
同じ豆で温度だけ変えて飲み比べてみるのも、 面白い発見があるかもしれません。
■道具を揃えてみる
スケール、タイマー、 注ぎやすいドリップケトル、 手挽きのミル。
少しずつ道具を揃えていくと、 毎回の一杯がより楽しみになっていきます。
道具選びで迷ったときも、 お気軽にご相談くださいね。
■淹れ方を深めてみる
今回ご紹介したのは、 はじめての方に向けたシンプルなレシピです。
慣れてきたら、 お湯を注ぐ回数を変えてみたり、 蒸らしの時間を調整してみたり。
少しずつ試していくと、 自分だけの「おいしい一杯」が見つかるかもしれません。
お店では、もう少し細かな淹れ方もお伝えしています。 興味のある方は、ぜひ遊びにいらしてくださいね。
よくあるご質問
お店でいただくご質問をいくつかご紹介します。
Q. 一度に2杯分淹れたいときは?
粉とお湯の量を2倍にしてください。
粉20g、お湯300gで淹れると、 2人分のコーヒーができあがります。
蒸らしのお湯は40gくらいが目安です。
ドリッパーのサイズが小さいと溢れてしまうこともあるので、 2杯用以上のドリッパーを使うか、 1杯ずつ淹れるのがおすすめです。
Q. アイスコーヒーにしたいときは?
濃いめに淹れて、氷で急冷するのがおすすめです。
粉10gに対してお湯100gで濃いめに抽出し、 氷を入れたグラスに直接注いでみてください。
詳しいレシピは、また別の記事でご紹介しますね。
Q. 毎日同じ味にならないのはなぜ?
実は、プロでも毎回まったく同じ味を出すのは難しいんです。
湿度や気温、豆の状態によっても味わいは変わります。
でも、それがハンドドリップの面白さでもあります。
スケールとタイマーを使って、 粉の量・お湯の量・時間を記録していくと、 少しずつ安定していきますよ。
Q. コーヒーメーカーとどっちがいい?
どちらにも良さがあります。
コーヒーメーカーは手軽さが魅力。 忙しい朝には心強い味方です。
ハンドドリップは、 自分好みの味に調整できる楽しさがあります。
どちらが「正解」ということはありません。
その日の気分や時間に合わせて、 使い分けるのもいいと思いますよ。
Q. 淹れたコーヒーはどのくらい持ちますか?
淹れたてがいちばんおいしいのは間違いありませんが、 保温ポットに入れておけば、1〜2時間は楽しめます。
ただ、時間が経つにつれて酸味が強くなったり、 香りが飛んでしまったりすることも。
できれば、飲む分だけ淹れるのがおすすめです。
おわりに
はじめての一杯、 淹れてみていただけましたか?
完璧な一杯じゃなくても、大丈夫。
「自分で淹れたコーヒー」というだけで、 いつもとは違う特別なひとときになるはずです。
お湯を注ぐ音、立ち上る香り、 静かに落ちていくコーヒーを眺める時間。
その「淹れる時間」そのものが、 日々のなかの小さな息抜きになったらうれしいです。
最初はうまくいかなくても、 何度か淹れているうちに、 少しずつ自分の好みがわかってきます。
「今日のは少し薄かったな」 「前より苦くなくて飲みやすい」
そんな小さな気づきを重ねていくことが、 コーヒーを楽しむ第一歩だと思っています。
私たちFUKUSUKE COFFEEは、 コーヒーを通じて、 あなたの日常に小さな「福」を届けたいと思っています。
はじめての一杯が、 あなたにとって心地よいひとときになりますように。
もし淹れ方で迷うことがあれば、 いつでもお気軽にご相談くださいね。
お店でも、オンラインでも、 あなたのコーヒー時間に寄り添えたらうれしいです。
あなたのことも、教えてください
FUKUSUKE COFFEEの読み物は、私たちが一方的に「伝える」ためのものではなく、みなさんと一緒につくっていきたいと考えています。
・このコーヒー、どう選べばいい?
・プレゼントで失敗しないコツを知りたい
・浅煎りって、正直よくわからない
・こんな話、読んでみたい
・最近こんなことで悩んでいます
などなど、どんな小さなことでも大丈夫です。
ふと感じた疑問や、知りたいこと、悩んでいることを、そっと教えてください。
いただいたお声は、次の読みものや商品づくりのヒントとして、ひとつひとつ、大切に活かしていきます。

FUKUSUKE COFFEE ROASTERY 愛知県安城市桜井|福を届けるコーヒーロースタリー

