「同じ豆を使っているのに、昨日と今日で味が違う気がする」
ハンドドリップを始めてしばらく経つと、こんなことが気になり始めませんか。
実はこれ、気のせいではありません。コーヒーの味は、淹れるときのほんの小さな違いで驚くほど変わります。
お湯の温度がほんの数度違うだけで、挽き目がわずかに粗いだけで、カップの中身はまるで別のコーヒーのように感じられることがあるんです。
でも裏を返せば、「何が味に影響しているか」を知っていれば、狙って味を変えることもできるということ。
今回は、ハンドドリップで味を左右する5つの変数についてお話しします。全部を一度に覚える必要はありません。「こういう仕組みなんだな」とわかるだけで、次に淹れる一杯がちょっと変わってくるはずです。
そもそも「変数」って何だろう
変数というと難しく聞こえるかもしれませんが、要は「自分で調整できるポイント」のことです。
コーヒーの抽出は、コーヒーの粉からお湯に成分を溶かし出す作業。その溶け出し方に影響するポイントが、いくつかあります。
FUKUSUKE COFFEEの焙煎士・三浦がお客様によくお伝えしているのは、「変数は一度にひとつだけ動かしてみてください」ということ。あれもこれも同時に変えてしまうと、何が原因で味が変わったのかわからなくなってしまいます。
ひとつずつ試す。それだけで、自分の好みにぐっと近づけるようになります。
変数1:挽き目(粉の細かさ)

味への影響がもっとも大きいのが、豆の挽き目です。
細かく挽くと、粉の表面積が増えて成分がたくさん溶け出します。結果として、味は濃く、苦みやコクが強くなる方向へ。逆に粗く挽くと、成分の溶け出しが穏やかになり、すっきりとした軽い口当たりに仕上がります。
お店でも、にまず調整するのが挽き目です。温度や注ぎ方はいつも通りのまま、挽き目だけを少しずつ変えて味を探っていきます。
「苦すぎるな」と感じたら、少しだけ粗くしてみてください。「物足りないな」と思ったら、気持ち細かめに。はじめのうちは中挽きを基準にして、そこから微調整していくのがおすすめです。
変数2:お湯の温度

温度もまた、味を大きく左右します。
コーヒーの成分には溶け出しやすい順番があって、酸味の成分がまず先に、続いて甘み、そして苦みの順に溶け出していきます。
お湯の温度が高いほど、この溶け出しが全体的に促進されるので、甘みや苦みまでしっかり抽出されるようになります。
温度を低めにすると、酸味が主体のさっぱりした味わいに。高めにすると、甘みやボディ感がしっかり出てくる代わりに、苦みも強くなりやすい。
FUKUSUKE COFFEEの初心者向けレシピでは85℃をおすすめしています。ここを基準にして、「もう少し甘みがほしいな」と思えば少し上げてみる。「苦みが気になるな」と思えば少し下げてみる。2〜3℃の違いでも、カップの印象は変わりますよ。
温度調整ができる電気ケトルがあると便利ですが、なくても大丈夫。沸騰したお湯をドリップポットに移し替えるだけで、だいたい90℃前後まで下がります。

そこから少し待てば85℃くらい。温度計がなくても、「沸騰してから何分待ったか」でおおよその目安はつかめます。
変数3:粉とお湯の比率

コーヒーの粉の量に対して、どのくらいのお湯を使うか。この比率も味を決める大きなポイントです。
粉に対してお湯が少なければ濃い味に、多ければ薄い味になる。言葉にするとシンプルですが、これが意外と見落とされがちなんです。
FUKUSUKE COFFEEの簡単レシピでは、粉10gに対してお湯150g(15倍)をひとつの基準としてお伝えしています。1杯分をきちんと量って淹れるだけで、味のブレはかなり減ります。
「いつも目分量で淹れている」という方は、まずここを固定してみてください。スケール(はかり)をひとつ用意するだけで、毎回の味がぐっと安定します。料理用のデジタルスケールで十分です。
濃いめが好みなら粉を少し増やして12〜13倍に、すっきり飲みたいなら16〜17倍にしてみるのもいいかもしれません。
変数4:抽出時間

お湯を注ぎ始めてから、コーヒーが落ちきるまでの時間。ここにも味の変化が隠れています。
抽出時間が長くなるほど、粉とお湯が触れ合う時間が増えて、より多くの成分が溶け出します。短ければすっきりと軽やかに、長ければ濃厚でどっしりとした味わいに近づく傾向があります。
ただし、時間をかけすぎると、えぐみや渋みといった心地よくない成分まで出てきてしまいます。当店では「2分以内」をひとつの目安にすることが多いです。雑味が気になるときは、落ちきりを待たずにドリッパーを外してしまうのもひとつの手。
時間を意識するようになると、「今日はいつもより落ちるのが遅いな」といった小さな変化にも気づけるようになります。それだけで、次の一杯への手がかりが増えていきます。
変数5:お湯の注ぎ方

ゆっくり細く注ぐのか、勢いよく太く注ぐのか。注ぎ方によっても、コーヒーの味は変わります。
細くゆっくり注ぐと、粉にお湯がじんわり染み渡り、しっかりと成分を引き出せます。味は濃く、コクのある方向に。
太く勢いよく注ぐと、粉の層をお湯がさっと通り抜けるので、すっきりした軽い味わいになります。
注ぎ方は、5つの変数のなかでは少しコントロールが難しいかもしれません。毎回まったく同じように注ぐのは、プロでも簡単ではないんです。
だからこそ、まずは他の変数(挽き目や比率)を固定して、注ぎ方は「いつも通り」を心がけるくらいでいいと思います。慣れてきたら、「今日はちょっと細めに注いでみようかな」と遊んでみるのも楽しいですよ。
まずはひとつだけ、変えてみませんか

5つの変数を一覧にまとめると、こんなふうになります。
- 挽き目は「細かい→濃い、粗い→すっきり」。
- 温度は「高い→苦み・甘みが出る、低い→酸味が立つ」。
- 比率は「お湯が少ない→濃い、多い→薄い」。
- 抽出時間は「長い→濃い、短い→軽い」。
- 注ぎ方は「細くゆっくり→濃い、太く速く→すっきり」。
共通しているのは、成分をたくさん引き出すほど濃くなり、控えめに引き出すほどすっきりするということ。この感覚がつかめると、「今日のコーヒーがなぜこの味なのか」が少しずつ見えてきます。
はじめから全部を完璧にコントロールしようとする必要はありません。
まずは粉とお湯の量を毎回きちんと量ること。それだけで味はかなり安定します。そこから「ちょっと苦いな」と思ったら挽き目を少し粗くしてみる。「もう少しコクがほしいな」と思ったら温度を2℃上げてみる。
ひとつずつ試して、ひとつずつ発見がある。その繰り返しのなかで、自分だけの「ちょうどいい一杯」がだんだん見えてきます。
FUKUSUKE COFFEEでは、豆をお求めいただいたときに淹れ方のご相談もお受けしています。「こんな味にしたいんだけど、どうすればいい?」という疑問があれば、いつでも気軽に声をかけてくださいね。
あなたの一杯が、今日もやさしい味になりますように。
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FUKUSUKE COFFEE ROASTERY 愛知県安城市から”福を届ける”コーヒーロースタリー

