Fukusuke Coffee

安い道具でも大丈夫?|価格帯で変わること・変わらないこと

「コーヒーの道具って、数百円のものから1万円超のものまであるけど、結局、何が違うんでしょうか」

コーヒーを始めようと道具を調べはじめた方から、本当によくいただくご質問です。

安いものを選んで後悔はしたくない。かといって、高ければ間違いない、と言われると、それも何か違う気がする。

その感覚は、とても健全なものだと思っています。

価格には、ちゃんと理由があるんです。ただ、その理由がそのまま「カップの中の美味しさ」と直結するかというと、実はそうでもないんですよね。

道具によって、価格で大きく変わるものと、ほとんど変わらないものがある。これからお話ししたいのは、私たちが自分のお店で日々使っている道具を通して感じている、その正直なところです。


ドリッパー|価格差はあるけれど、カップへの影響は意外と小さい

最初に気になるのが、ドリッパーですよね。

100円ショップから、数千円のメーカー品、1万円を超える銅製のものまで、本当に幅があります。

ただ、正直にお伝えすると、ここで何千円もの差をつける必要はないと、私たちは思っているんです。

100円ショップで売られている円錐型のドリッパーでも、コーヒーはちゃんと淹れられます。実際、おうちでもお店でも試してみたことが、私たちも何度もあります。

ハリオV60や、カリタのウェーブのような定番メーカー品(500円〜1,500円ほど)になると、リブの設計やお湯の抜け具合が安定してきます。同じ豆を、同じレシピで淹れたときに、味のブレが少しだけ抑えやすくなるんです。

そこからさらに陶器や銅製の高価なものになると、保温性や、キッチンに置いたときの佇まいが上がっていきます。ただ、味そのものへの影響は、思っているより小さいんですよね。

最初の一つを選ぶなら、500円前後のプラスチック製で十分です。デザインが気に入ったものを選んでいただくのが、いちばん長く付き合えると思っています。


ペーパーフィルター|ここは、カップに影響が出やすいところ

意外かもしれませんが、ドリッパーよりもカップに影響しやすいのが、こちらなんです。

100円ショップのフィルターと、有名メーカーのフィルターを使い比べてみると、わずかな違いではあるのですが、カップの中のクリアさが変わってきます。

紙質、漂白の仕方、繊維の密度。そういった細かい違いが、雑味の抜け方を左右するんですね。

私たちのお店では、山洋産業のアバカプラスフィルターを使っています。バナナの茎の繊維が使われたフィルターで、後味が引っかからない仕上がりになるのが好きで、ずっと続けているんです。

ここに関しては、メーカー品をおすすめしたいところです。

1袋数百円のものばかりなので、たくさん試してみて、好みのものに出会えたら、それを使い続ける。そんな付き合い方も、楽しいですよ。


サーバー|ここは、ほとんど価格で変わらない道具

抽出したコーヒーを受ける、ガラスやプラスチックの容器のことですね。

正直なところ、ここはほとんど価格で変わりません。

容量がちゃんと足りていて、耐熱性があって、目盛りが読めれば、それで十分なんです。

ハリオやカリタの定番サーバーが1,500円前後で手に入ります。100円ショップにも、コーヒーサーバーとして使える耐熱性の容器がありますし、お手持ちのマグカップに直接ドリップしていただいても、もちろん問題ありません。

ここでお金をかけるよりは、これからお話しする道具にまわしていただくほうが、満足度につながると思っています。


ケトル|「細く注げるかどうか」で、価格差が出やすい道具

ハンドドリップで意外と差が出やすいのが、お湯を注ぐケトルです。

家にある電気ケトルややかんでも、最初は十分にコーヒーを淹れられます。

ただ、注ぎ口が太いと、お湯が一気に流れ落ちて、ドリッパーの中の粉が暴れてしまうんですよね。

そうなると、雑味が出やすくなったり、日によって味がブレやすくなったりするんです。

ドリップ専用のポットは、注ぎ口が細く設計されています。お湯を「狙ったところに、狙った速度で」落とせるようになる。これが、価格差の正体なんです。

3,000円台のシンプルなドリップポットでも、家にある電気ケトルとは別物の感覚で淹れられます。温度計付きや電気式のもの(1万円前後〜)まで行くと、温度コントロールも加わって、安定感がさらに上がっていきます。

「もっとコーヒーを楽しみたいな」と思ったときに、いちばん最初に検討していただきたい道具かもしれません。


スケール|1g単位のもので十分、タイマー付きだとうれしい

豆とお湯の量をはかるためのスケールです。

ここは、難しく考えなくて大丈夫です。

100円ショップのデジタルスケールでも、1g単位で量れれば、ハンドドリップには十分なんです。

ただ、コーヒー用と銘打って売られている1,000円〜3,000円ほどのスケールには、タイマー機能がついているものがあります。

抽出開始からの時間が、はかりの数字と一緒に見えると、レシピを再現しやすくなるんですね。「あれ、今日はいつもより落ちるのが早いな」みたいな、小さな気づきが拾えるようになります。

味の安定が気になりはじめたら、買い替えを考えてみてください。


コーヒーミル|ここは、価格と味がいちばん連動する道具

最後に、いちばん正直にお話ししておきたいのが、コーヒーミルです。

ミルだけは、価格と味の関係が、わりとはっきり出るんです。

理由はシンプルで、粒度の均一さが、抽出の安定にそのまま響くからなんですね。

挽きムラがあると、細かい粉からは成分が強く出て、粗い粉からはあまり出ない、というばらつきが起きます。その結果、雑味と物足りなさが同じカップに同居してしまうんです。

電動ミルなら、5,000円台のものと、2万円台のものでは、粒度のそろい方がはっきり違ってきます。手挽きミルも、最近は1万円前後で家庭用としてかなり優秀なものが手に入るようになってきました。

3,000円以下のミルを選ばれて「あれ、思ったほど美味しくならないな」とお感じになった方が、ミルを買い替えた瞬間に味がぐっと上がった、というご相談を、お店で何度もいただいているんです。

もし投資する道具をひとつ選ぶなら、ミルを優先していただきたい。

これは、私たちがお店でお客様とお話ししてきたなかで、いつもお伝えしているところなんです。


それでも、いちばん大きく味を変えるもの

ここまで道具ごとにお話ししてきましたが、ひとつだけ、最後に。

道具の価格より、もっと大きくカップを変えるものがあります。それは、自分の好みに合ったコーヒー豆と、その豆を丁寧に焙煎しているお店と出会えるかどうか、なんです。

焙煎日から4ヶ月以上経ったような、鮮度が落ちきった豆だと、どんな道具で淹れても本来の風味は出てきにくくなります。逆に言えば、鮮度が保たれている豆を、自分の好みに合わせて焙煎してくれるお店と出会えたなら、道具は手の届く範囲のもので十分なんです。

道具にかけるお金を少し抑えて、その分を豆にまわしてみる。

そんな始め方をされている方のほうが、結果的にコーヒーを長く楽しまれているように感じています。

価格には、理由がある。でも、価格と美味しさは、思っているほど一直線ではない。

このことが、これから道具を選ばれる方の、小さなお守りになりますように。安城のお店でも、オンラインでも、道具選びのご相談はいつでもお気軽にお寄せくださいね。


あなたのことも、教えてください

FUKUSUKE COFFEEの読み物は、私たちが一方的に「伝える」ためのものではなく、みなさんと一緒につくっていきたいと考えています。

・このコーヒー、どう選べばいい?
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